World Sailing Regatta News From Siesta Sailing Team
Posted by wataru - 2008.06.17,Tue
WMRT終了
Photo by KAZI
Korea Match Cup 2008が終了しました。
Resultは以下の通りです。
1st Sebastien Col (FRA)
2nd Ian Williams(GBR)
3rd Adam Minoprio(NZL)
4th Jesper Radich(DEN)
5th Mathieu Richard(FRA)
6th Paolo Cian(ITA)
7th Bjorn Hansen(SWE)
8th Tover Mirsky(AUS)
9th Peter Gilmour(AUS)
10th Wataru Sakamoto(JPN)
11th Magnas Holmberg(SWE)
12th Lim Seung Chul(KOR)
World Match Racing tour、について。
初めてのグレード1の参加ということもあり大会を通じて、WMRTの規模、企画の大きさに驚くばかりでした。選手に対する手厚いおもてなしも完璧で、プロセーラーとしての立場、地位が確立されていた大会でした。
カメラクルー
選手たちはいつでもメディアやファンに対して快く応え、セーリング競技を観戦できるスポーツとして確立していました。しかしながら観戦できるということが目的となっている為にスタートエリア等も狭く非常に苦労した部分もありました。エリアに関しては今後もさらに狭く難しくなるだろうと、谷路さんはお話してくれました。そのような条件下でも我々セーラーは見せる競技として技術を高めていかなければならないと深く感じさせられました。
大きな事をここに記してしまいますが、今後の日本はセーラーとして楽しむセーリングだけでなく、魅せる競技としてアピールしていく、そして魅力のあるセーラーとして周りに伝えていかないといけないのかもしれません。セーリング全体の魅力を伝えていくことで、企業のスポンサー、地方行政への理解を得られるのだと感じさせられました。
桟橋ギリギリまで迫ってきます
グレード1のレベル
①セーリング、セッティング
彼らはどのような艇種に乗ってもその艇の最大限のパワーとスピードを引き出します。
文章にすると、当然のことなのですがこのあたりまえの部分だけでも差を感じました。
彼らは基本に忠実で、ベストのセッティングトリムを再現するため全てのシートにマーキングを行います。我々はこのベストセッティングを作り出すのに時間を要しますが彼らは、レース前日の練習時間(2時間)で掴んでいたのではないかと思います。
ベストセッティングを早くに掴むには出来るだけ多くの艇種に乗りその船の特性を掴むトレーニングを行うしかないと思います。可能ならばその艇種も30フィート以上の船が良いと思います。キールボートはディンギーと比べると加速性能が悪く、さらにバルブキールになるとさらに加速(走り出し)は悪くなります。この辺りの特性を良く理解しセッティングに臨むことが出来れば改善されると思います。
今回我々が乗った艇はバルブキールだったのですが、一度スピードがつくと本当に良いスピード性能で走ります。あれだけのバルブ(鉛)がキール下にあるのですから当然スタビリティーは高くなります。
このような艇種でレースを行うと、少しのスピード差が本当に明暗を分けます。具体的にいえば、タック後のスピードが0.5ノット違うだけでバウダウンの角度、セールの引き込み量が変わってくるのです。スピードビルド(加速させる)だけに意識をしてはいけません。コンディションを見てタックの回し方を選択する方法があると感じました。船のスタビリティーが高くなるという事は、惰性(だせい)能力も高くなります。この惰性を上手く使いタックしなければなりません。すなわちタックで高さを稼ぐと言うことです。
書いていることが矛盾しているのですがタックで高さを稼ぐのか、スピードビルドしなければならないのかを常に感じて選択しなければベストのセーリングはできませんでした。トップセーラー達はこの辺りの無駄が見られませんでした。
②プレスタート
振り返って思い出すと各セーラーそれぞれ船の運びには特性がありました。しかしそれは1分前までで1分を切ると、どの選手も同じでした。自分がどちらから出ていくのかしっかりとしたプランニングに基づいてポジショニングを取っていきます。この辺りはイーブンスタート、リスクを背負わずにスタートするというスタイルでしょう。
我々日本人チームと大きく異なったのは、1分前までは徹底的に攻撃をしてきます。この部分はレガッタを通して苦しめられました。とくにダイヤルアップ直後はかなり粘られます。簡単にはカバーを外してくれません。ポートでエントリーした際も相手にプレッシャーを与えながら、風下から攻撃をするようにしないとしつこく抑え込まれました。
タイム&ディスタンスですが(距離に対する時間の感覚)、トップセーラーは本当にギリギリの所まで時間を詰めていました。言葉では伝わりにくいですが、残り時間に対してピンまでの距離(消化時間)が短い場合、我々の場合は諦めてラインから追い出されたりしますが、トップセーラーはこの辺りのボートコントロールは目からウロコが落ちるくらいのテクニックを見せつけられました。
特筆すべきはレイラインでした。普段国内でマッチレースを行う場合のレイライン(アウターマーク側)感覚では到底太刀打ちできません。船が大きくなるほど、シューティングレイラインが伸びてきます。大半の選手がシューティングラインを使ってスタートしていきます。スタート前1分30秒から1分20秒ぐらいでテールバック(相手の後ろについている状態)している際、相手を出来るだけスターボーのレイラインにプッシュしていくのですが、この追い込みが甘いとバウアップした際(ラインに向かい始める)予想以上にシューティングレイラインが高く、自分たちがスタートラインの右サイド(ボートサイド)に追い込まれます。ですから、アウターマークのレイラインを割るぐらいの追い込みを行い、そこからラインに向かわないとイーブンスタートはさせてもらえませんでした。
③クルーワーク
トップチームのクルーワークですが彼らは普段から大小様々な艇種にのっているので、クルーの持っている「引き出し」がたくさんあると感じました。
我々がジェネカーに慣れていないのもなりましたが、彼らは本当にそつなくこなします。この大会のレベルに来れば当然なのかもしれませんが、クルーワークの役割分担が明確化されているようで指示を飛ばさなくても完璧にクルーワークをこなしているようでした。
タクティクス、ポジショニングに対してもメンバー全てが動きを理解しているので、厳しい下マーク回航でもスムースにジェネカーダウンしていきます。
クルーの個々のテクニック、経験が素晴らしいのももちろんですが、見えない部分ではチームの意思疎通、伝達能力が完璧だったと思います。レースを観戦していると、決して急いでクルーワークを行っているようには見えませんでした。全ての動きに無駄がなく、考えて行動しているようにも見えませんでした。
今回のメンバー 左から、加原、岡本、西畑、坂本、和田
Photo by KAZI
最後に、彼らと対戦するまではどのようなマッチレースをしてくるのか緊張もありましたが、1つ1つ冷静に振り返ると彼らは基本に忠実で、至ってシンプルなレースでした。国内で行っているマッチレースと変わりはありません。しかし精度は違います。荒削りな部分はなく、本当に無駄がありませんでした。
今大会で活躍したAdam Minoprio、Tover Mirskyは20代前半で彼らはUnder25の大会で1、2位を争う選手でした。オーストラリア、ニュージーランドでは次期、ディーンバーカー、ジェームススピットヒルとなってい
るようです。
彼らのような年齢でマッチレースを始め、このレベルのレースを行っているのは本当に凄いことだと感心しました。日本でもディンギーだけにとらわれずマッチレースに挑戦してくる、挑戦的な選手が出てくることを期待したいと思います。
今後は年に1度か2度はアジア向けのワイルドカードを用意していくような事をお聞きしました。
マッチレース界の新たな目標として盛り上がっていくことは間違いないと思います。日本チームとしてファイナリストになれるよう頑張っていきたいと思います。
レース後、Peter Gilmour氏と。
Photo by KAZI
Korea Match Cup 2008が終了しました。
Resultは以下の通りです。
1st Sebastien Col (FRA)
2nd Ian Williams(GBR)
3rd Adam Minoprio(NZL)
4th Jesper Radich(DEN)
5th Mathieu Richard(FRA)
6th Paolo Cian(ITA)
7th Bjorn Hansen(SWE)
8th Tover Mirsky(AUS)
9th Peter Gilmour(AUS)
10th Wataru Sakamoto(JPN)
11th Magnas Holmberg(SWE)
12th Lim Seung Chul(KOR)
World Match Racing tour、について。
初めてのグレード1の参加ということもあり大会を通じて、WMRTの規模、企画の大きさに驚くばかりでした。選手に対する手厚いおもてなしも完璧で、プロセーラーとしての立場、地位が確立されていた大会でした。
カメラクルー
選手たちはいつでもメディアやファンに対して快く応え、セーリング競技を観戦できるスポーツとして確立していました。しかしながら観戦できるということが目的となっている為にスタートエリア等も狭く非常に苦労した部分もありました。エリアに関しては今後もさらに狭く難しくなるだろうと、谷路さんはお話してくれました。そのような条件下でも我々セーラーは見せる競技として技術を高めていかなければならないと深く感じさせられました。
大きな事をここに記してしまいますが、今後の日本はセーラーとして楽しむセーリングだけでなく、魅せる競技としてアピールしていく、そして魅力のあるセーラーとして周りに伝えていかないといけないのかもしれません。セーリング全体の魅力を伝えていくことで、企業のスポンサー、地方行政への理解を得られるのだと感じさせられました。
桟橋ギリギリまで迫ってきます
グレード1のレベル
①セーリング、セッティング
彼らはどのような艇種に乗ってもその艇の最大限のパワーとスピードを引き出します。
文章にすると、当然のことなのですがこのあたりまえの部分だけでも差を感じました。
彼らは基本に忠実で、ベストのセッティングトリムを再現するため全てのシートにマーキングを行います。我々はこのベストセッティングを作り出すのに時間を要しますが彼らは、レース前日の練習時間(2時間)で掴んでいたのではないかと思います。
ベストセッティングを早くに掴むには出来るだけ多くの艇種に乗りその船の特性を掴むトレーニングを行うしかないと思います。可能ならばその艇種も30フィート以上の船が良いと思います。キールボートはディンギーと比べると加速性能が悪く、さらにバルブキールになるとさらに加速(走り出し)は悪くなります。この辺りの特性を良く理解しセッティングに臨むことが出来れば改善されると思います。
今回我々が乗った艇はバルブキールだったのですが、一度スピードがつくと本当に良いスピード性能で走ります。あれだけのバルブ(鉛)がキール下にあるのですから当然スタビリティーは高くなります。
このような艇種でレースを行うと、少しのスピード差が本当に明暗を分けます。具体的にいえば、タック後のスピードが0.5ノット違うだけでバウダウンの角度、セールの引き込み量が変わってくるのです。スピードビルド(加速させる)だけに意識をしてはいけません。コンディションを見てタックの回し方を選択する方法があると感じました。船のスタビリティーが高くなるという事は、惰性(だせい)能力も高くなります。この惰性を上手く使いタックしなければなりません。すなわちタックで高さを稼ぐと言うことです。
書いていることが矛盾しているのですがタックで高さを稼ぐのか、スピードビルドしなければならないのかを常に感じて選択しなければベストのセーリングはできませんでした。トップセーラー達はこの辺りの無駄が見られませんでした。
②プレスタート
振り返って思い出すと各セーラーそれぞれ船の運びには特性がありました。しかしそれは1分前までで1分を切ると、どの選手も同じでした。自分がどちらから出ていくのかしっかりとしたプランニングに基づいてポジショニングを取っていきます。この辺りはイーブンスタート、リスクを背負わずにスタートするというスタイルでしょう。
我々日本人チームと大きく異なったのは、1分前までは徹底的に攻撃をしてきます。この部分はレガッタを通して苦しめられました。とくにダイヤルアップ直後はかなり粘られます。簡単にはカバーを外してくれません。ポートでエントリーした際も相手にプレッシャーを与えながら、風下から攻撃をするようにしないとしつこく抑え込まれました。
タイム&ディスタンスですが(距離に対する時間の感覚)、トップセーラーは本当にギリギリの所まで時間を詰めていました。言葉では伝わりにくいですが、残り時間に対してピンまでの距離(消化時間)が短い場合、我々の場合は諦めてラインから追い出されたりしますが、トップセーラーはこの辺りのボートコントロールは目からウロコが落ちるくらいのテクニックを見せつけられました。
特筆すべきはレイラインでした。普段国内でマッチレースを行う場合のレイライン(アウターマーク側)感覚では到底太刀打ちできません。船が大きくなるほど、シューティングレイラインが伸びてきます。大半の選手がシューティングラインを使ってスタートしていきます。スタート前1分30秒から1分20秒ぐらいでテールバック(相手の後ろについている状態)している際、相手を出来るだけスターボーのレイラインにプッシュしていくのですが、この追い込みが甘いとバウアップした際(ラインに向かい始める)予想以上にシューティングレイラインが高く、自分たちがスタートラインの右サイド(ボートサイド)に追い込まれます。ですから、アウターマークのレイラインを割るぐらいの追い込みを行い、そこからラインに向かわないとイーブンスタートはさせてもらえませんでした。
③クルーワーク
トップチームのクルーワークですが彼らは普段から大小様々な艇種にのっているので、クルーの持っている「引き出し」がたくさんあると感じました。
我々がジェネカーに慣れていないのもなりましたが、彼らは本当にそつなくこなします。この大会のレベルに来れば当然なのかもしれませんが、クルーワークの役割分担が明確化されているようで指示を飛ばさなくても完璧にクルーワークをこなしているようでした。
タクティクス、ポジショニングに対してもメンバー全てが動きを理解しているので、厳しい下マーク回航でもスムースにジェネカーダウンしていきます。
クルーの個々のテクニック、経験が素晴らしいのももちろんですが、見えない部分ではチームの意思疎通、伝達能力が完璧だったと思います。レースを観戦していると、決して急いでクルーワークを行っているようには見えませんでした。全ての動きに無駄がなく、考えて行動しているようにも見えませんでした。
今回のメンバー 左から、加原、岡本、西畑、坂本、和田
Photo by KAZI
最後に、彼らと対戦するまではどのようなマッチレースをしてくるのか緊張もありましたが、1つ1つ冷静に振り返ると彼らは基本に忠実で、至ってシンプルなレースでした。国内で行っているマッチレースと変わりはありません。しかし精度は違います。荒削りな部分はなく、本当に無駄がありませんでした。
今大会で活躍したAdam Minoprio、Tover Mirskyは20代前半で彼らはUnder25の大会で1、2位を争う選手でした。オーストラリア、ニュージーランドでは次期、ディーンバーカー、ジェームススピットヒルとなってい
るようです。
彼らのような年齢でマッチレースを始め、このレベルのレースを行っているのは本当に凄いことだと感心しました。日本でもディンギーだけにとらわれずマッチレースに挑戦してくる、挑戦的な選手が出てくることを期待したいと思います。
今後は年に1度か2度はアジア向けのワイルドカードを用意していくような事をお聞きしました。
マッチレース界の新たな目標として盛り上がっていくことは間違いないと思います。日本チームとしてファイナリストになれるよう頑張っていきたいと思います。
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プロフィール
HN:
wataru
年齢:
45
性別:
非公開
誕生日:
1979/08/23
自己紹介:
8歳からセーリングを始める。
2007年周りの影響から突然ブログを作成する。
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